「栄養バランスが大事」と聞いても、
実際に“自分に必要な量”を知るのって、ちょっとむずかしいですよね。
カロリーはなんとなく意識していても、「たんぱく質・脂質・炭水化物」をどう摂ればいいのか…
それを数字で考えるのは、ハードルが高く感じる方も多いと思います。
この記事では、そんなモヤモヤをスッキリさせる【PFCバランスの計算方法】を、
35歳女性・55kgのモデルケースをもとに、できるだけやさしく・具体的に解説します。
数字があることで、「これくらい食べても大丈夫」という安心感が得られることも。
あなたの毎日のごはんに、ちょっとした自信が持てますように──
PFC食堂は、そんな気持ちでこのページをお届けします。
PFCバランスとは?三大栄養素の”ちょうどいい”関係のこと
「PFCバランス」という言葉を聞いたことはありますか?
パッと聞くと難しく感じるかもしれませんが、私たちの体が元気に活動するために欠かせない、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)を、どんな割合で摂るといいかを表した考え方です。
厚生労働省ではこれを「エネルギー産生栄養素バランス」と呼んでおり、よく目にする“カロリー”のほとんどは、この3つの栄養素から生まれています。
単に摂取カロリーの量を意識するだけでなく、「どの栄養素からカロリーをとっているか」も、健康管理にはとても大切。
PFCバランスを意識することは、生活習慣病の予防や、疲れにくく元気に過ごす体づくりにもつながります。
ここからは、それぞれの栄養素の役割を、できるだけわかりやすく紹介していきますね。
たんぱく質(Protein):身体をつくる材料そのもの!
- 筋肉・内臓・髪や肌など、身体の“部品”を作る大事な材料
- ホルモンや酵素、免疫を支える抗体もたんぱく質からできている
- 特に「必須アミノ酸」は体内で作れず、食事から摂る必要がある重要成分
脂質(Fat):長持ちするエネルギー!
- 身体を寒さや衝撃から守るクッションのような役割も
- 長時間の活動を支える“バッテリー型のエネルギー源”
- ただし摂りすぎると内臓脂肪が増え、メタボの原因になることも
- 女性は脂質を極端に減らすと、生理不順などに繋がることもあるので要注意!
炭水化物(Carbohydrate):すぐに使えるエネルギー!
- 糖質と食物繊維に分かれ、主に糖質がすぐにエネルギーとして使われる
- 脳のエネルギー源である「ブドウ糖」も、炭水化物から作られる
- 炭水化物を減らしすぎると、集中力や代謝が落ちやすくなることもある
あなたに必要なPFC量を計算する方法をかんたん解説
「PFCバランスが大事」と言われても、まずは自分にとっての“ちょうどいい量”を知ることが大切です。
ここでは、【自分に必要なPFC量】を実際に計算する方法を、かんたんに解説していきますね。
体型・活動量から自分に必要な摂取カロリーを知ろう!
まず押さえておきたいのは、太らないための基本ルール、
摂取カロリー < 消費カロリーという考え方です。
でも実際の「自分の消費カロリー」って、どうやって知ればいいのでしょう?
実はとても便利な計算ツールがあります。それがこちら:
▶︎ カシオ計算機のエネルギー計算サイト
(※外部サイトに移動します)
このツールでは、年齢・身長・体重・日々の活動量を入力するだけで、
あなたの1日に必要な「総消費カロリー(TDEE)」を知ることができます。
📊 TDEEとは?
TDEE(Total Daily Energy Expenditure)は、
**基礎代謝に日々の活動量を加えた「1日の総消費カロリー」**のこと。
つまり、あなたが1日に摂っていいカロリーの目安=上限値です。
たとえば、35歳・158cm・55kgの女性が“軽い運動あり”で計算すると…
→ 総消費カロリーは 1,779kcal という結果になります。

自分だけのたんぱく質・脂質・炭水化物のカロリー量を計算しよう!
さて、次はこのカロリーをPFCバランスの割合に分けていきましょう。
このサイトでは、PFCバランスを下記のように設定しています:
- たんぱく質:20%
- 脂質:30%
- 炭水化物:50%
この比率は、
- 計算がシンプルで覚えやすい
- 日本人の食生活ではたんぱく質が不足しがちなので、あえて高めに設定することで“意識的に摂る”きっかけをつくることを大切にしています。
今回は例として、摂取カロリーを 1,600kcal に設定します。
(基礎代謝1,300kcal以上、総消費カロリー1,779kcal以下の中間値)
それをPFCバランスに当てはめてみると、こうなります👇
栄養素 | カロリー配分 | 計算式 | 結果 |
たんぱく質 | 20% | 1600 × 0.2 | 320kcal |
脂質 | 30% | 1600 × 0.3 | 480kcal |
炭水化物 | 50% | 1600 × 0.5 | 800kcal |
それぞれ計算したカロリー量を、グラム数に変換しよう!
「ここまでで十分おなかいっぱい…!」という声も聞こえてきそうですが、
もう少しだけ頑張って、自分に必要な【グラム数】まで落とし込んでみましょう。
それぞれの栄養素が出すカロリーは、以下の通りです:
- たんぱく質:1グラムあたり 4kcal
- 脂質:1グラムあたり 9kcal
- 炭水化物:1グラムあたり 4kcal
これを使って、1日の目安グラム数を計算すると…
栄養素 | カロリー量 | 計算式 | グラム数 |
たんぱく質 | 320kcal | 320 ÷ 4 | 80g |
脂質 | 480kcal | 480 ÷ 9 | 約53g |
炭水化物 | 800kcal | 800 ÷ 4 | 200g |
やっと出ましたね!これが、あなたに“ちょうどいい”1日のPFCの目安量です。
こんなにしっかり食べて大丈夫!(30代 55kg 女性の場合)
それでは、先ほど求めた1600kcalでどのような1日の食事を摂っていけるか見てみましょう。まずは、いつも通りの普通の1日の食事メニューを見てみてください。
☕️ 一般的な朝ごはん例
- バタートースト(60g食パン+10gバター):約240kcal(P5g/F14g/C24g)
- コンビニのカフェラテ(Mサイズ):約150kcal(P6g/F6g/C18g)
合計:P11g/F20g/C42g(≒390kcal)
→ 忙しい朝でもラクできて、PFC的にも最低限のスタートが切れるバランス。
🍽 外食ランチ例 (例:牛丼+味噌汁+小鉢)
- 牛丼(並盛):約670kcal(P22g/F28g/C78g)
- 味噌汁(わかめ・豆腐):約50kcal(P3g/F2g/C5g)
- 小鉢(冷奴 or 漬物など):約40kcal(P4g/F2g/C2g)
合計:P29g/F32g/C85g(≒760kcal)
→ 外食でもたんぱく質が意外と摂れてて、カロリーも抑えめ。日常活用しやすい外食セット。
🍛 一般的な晩ごはん例
- ご飯(茶碗一杯・150g):約260kcal(P6g/F1g/C58g)
- 焼き魚(サバ一夜干し・80g):約200kcal(P18g/F12g/C0g)
- 付け合わせ焼き野菜(ナス・ピーマン・オリーブ油5g):約90kcal(P1g/F7g/C5g)
- 納豆1パック(45g):約100kcal(P8g/F5g/C5g)
合計:P33g/F25g/C68g(≒650kcal)
→ 普通すぎる家庭の晩ごはんでも栄養バランス◎。おかずに一工夫でPを補えるメニュー。
📊 普通の1日の合計(目安)
- たんぱく質:約73g
- 脂質:約77g
- 炭水化物:約195g
- 総カロリー:約1,800kcal
特に気にせずに食事をした時は、どうしても脂質が多くなってカロリーオーバーしがちです。先ほど計算した自分のPFCを少しだけ意識して改善してみましょう。
🍽 各食の見直し後メニューとPFCバランス(概算)
☀️ 朝ごはん(のりたまおにぎりver)
- のりたまおにぎり(ご飯100g):200kcal(P4g/F2g/C40g)
- ゆで卵(1個):80kcal(P6g/F6g/C0g)
- インスタント味噌汁:50kcal(P3g/F2g/C4g)
合計:330kcal(P13g/F10g/C44g)
🍱 昼ごはん(外食ランチ:牛丼+味噌汁+小鉢)
- 牛丼(並):670kcal(P22g/F28g/C78g)
- 味噌汁:50kcal(P3g/F2g/C5g)
- 小鉢(冷奴など):40kcal(P4g/F2g/C2g)
合計:760kcal(P29g/F32g/C85g)
🌙 夜ごはん(ご飯半量+蒸し野菜ver)
- ご飯75g:130kcal(P3g/F0.3g/C29g)
- サバの塩焼き(80g):200kcal(P18g/F12g/C0g)
- 蒸し野菜(ブロッコリー・にんじん等)+少量ドレッシング:70kcal(P2g/F4g/C6g)
- 豆腐入り味噌汁:80kcal(P5g/F3g/C4g)
- 納豆(1パック):100kcal(P8g/F5g/C5g)
合計:約580kcal(P36g/F24g/C44g)
✅ 1日トータル(概算)
栄養素 | 合計量 | 目標値(1600kcal×P20%/F30%/C50%) | 達成度 |
たんぱく質 | 78g | 80g(320kcal) | ほぼ達成 |
脂質 | 66g | 53g(480kcal) | 少しオーバー |
炭水化物 | 173g | 200g(800kcal) | 少し控えめ |
カロリー | 約1,670kcal | 目標:1600kcal | ほぼ想定内 |
ポイントは、
- 朝を「ご飯+味噌汁+卵系」にするだけで、脂質を抑えつつPもキープ
- 昼は外食でも“たんぱく質多め”の内容を確保できている
- 夜の炭水化物を軽くすることで、全体バランスが整った!
全体として「ちょっと意識するだけ」でPFCバランスにグッと近づけましたね。
頑張りすぎない!あなたのPFC食堂とのつきあい方
PFCバランスを考えるとき、どうしても「完璧にやらなきゃ」とプレッシャーを感じる人もいるかもしれません。
でも、このサイトが伝えたいのは、数字で自分を縛ることではなく、数字で“安心”を感じてもらうことなんです。
たとえば、「あ、今日は脂質がちょっと多かったな」と気づいたら、
「じゃあ明日は野菜を多めにしよう」と整える。
そのくらいのゆるやかな調整で、身体はちゃんと応えてくれます。
毎日完璧じゃなくていい。
1週間トータルで“ちょうどいい”バランスを目指せばいい。
忙しい日も、外食が続く日も、ちょっとずつでも意識できれば、
あなたの“PFC食堂”は、ちゃんとあなたの味方になってくれます。
数字は、理論に縛るためじゃなく、“大丈夫”を知るためのもの。
あなたの暮らしに寄り添う、ゆるやかなバランスを一緒に探していきましょう。